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名鉄モノレール線・犬山遊園~動物園

 用事があって岐阜に宿泊したのが11月22日(土)の晩で、翌朝は自由時間であった。秋の行楽シーズンの三連休で、天気も良い。よりによってこんな日に、気が進まないなあと思いながらも、やはり向かうことにした。あと1ヶ月あまりで廃止の運命にある名鉄の犬山モノレール、まだ乗ったことがない。今日乗らないと、乗らずに終わることは確実である。

 これは、営業キロ1.2km、途中駅1駅という、観光用モノレールである。とはいえ、日本で最初の跨座式モノレールである。1962年開業と、東京モノレールより古く、ここの技術と経験がその後の東京モノレールなどに活かされたそうで、そういう意味では歴史的意義の深い交通機関である。


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 犬山遊園は、名鉄犬山線の途中駅で、ここがモノレール線の乗り換え駅である。そのモノレールのホームは名鉄の地平駅に対して、高架上にあり、一旦改札を出て乗り換えなければならない。運賃も別建てで、自動改札にも対応していない。一昔前のままで、名鉄としても、早くから廃止の可能性を見込んで近代化投資を控えてきたのではないかと思われた。「電車・モノレールのりば」と大書きした駅舎の雰囲気も、一昔前の行楽路線を彷彿とさせるレトロ感がある。また一つ、昭和の面影を残すものが消える、と言ってもいいかもしれない。


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 自動改札は無く、切符も窓口で購入し、駅員に切符を見せて入場するのだが、切符自体は自動改札対応の軟券である。ホームは単線で、さほど広くないので、今日は大賑わいだ。整理のロープが張られ、拡声器を持った駅員が何人もいる。ホームの入口には、モノレールの歴史などを解説する展示パネルが設けられている。

 動物園からモノレールが到着すると、これから乗る客、降りた客が、次々とカメラを向ける。降りた客が早く引き上げないと、列を作っている客が乗車できない仕組みである。「撮影が済みましたら出口にお進み下さい」と、駅員がマイクで呼びかける。行楽用の乗り物でもあるし、半ばこれを目当てという観光客も多いであろう。名鉄としても、「撮影などしないで出口に」とは言えないので、「撮影はすみやかに」という現実的な対応をしている。しかしそのためか、時刻表より2分ぐらい発車が遅れた。通勤通学列車ではないし、この先の接続列車もないから、その程度はどうということはない。


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 大入り満員で立ち客も乗せて発車。普段は30分に1本らしいが、今日は15分毎に運転しているようだ。いつもこれぐらい乗ってくれれば廃止にならないのだろうが、廃止と決まると人が増えるのは仕方ないし、私も他人のことを言えない。沿線でも撮影をしている人を何人も見かけた。モノレールだけに急勾配も急カーヴもあって起伏に富んでおり、僅かな乗車時間だが、思ったより面白かった。途中駅の成田山も、ある程度の乗降客があった。

 終点の動物園駅は、遊園地と隣接しており、ホームの向こうはもう遊園地の遊戯施設である。まさに観光用のモノレールである。周囲には普通の住宅もあるようだが、この僅か1.2kmの路線では、そういった住人の利用を前提に、例えば東急こどもの国線に倣って早朝から深夜まで走らせても、まず採算は取れないだろう。今日は大賑わいだが、昨今の少子化とレジャーの多様化、そして施設の老朽化と名鉄という会社自体の合理化、色々考えれば、廃止は致し方ないと思う。生活路線でもないので、反対運動も起こらなかったようである。


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 この三連休は、廃止の最終日などを除けば、多分モノレールにとって最後の晴れ舞台なのではないか。来る前は気が進まなかったが、たまにはそういう日に乗ってみるのも悪くない。ただ、やはり普通の平日は超閑散としていたそうで、それがこのモノレール晩年の日常だったようだ。そういう日にも乗ってみたかった気はする。
by railwaytrip | 2008-11-23 11:14 | 中部地方


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