廃止が決まっている私鉄、元・栗駒電鉄、今はくりはら田園鉄道という。改称した理由の一つは、観光需要の開拓を狙ってだろうが、それ以上の理由は「電鉄」をはずさなければならなかったかららしい。乗客減などのため、電車から気動車への置き換え、つまり電化の逆、非電化が行われたから。
そうして減量経営をしても、もはやこういった地方の鉄道は経営が成り立たず、ここも廃線が決定したとのこと。これも時代の流れで仕方ないとはいえ、かつてそれなりの栄華を誇った筈の地方鉄道。その現在の姿はというと・・・ まず起点の石越駅、東北本線の駅だが、思ったより小さく寂しい駅であった。東京から仙台や一ノ関までは、新幹線であっという間なのに、そこからが遠い。仙台乗り換えで普通に乗ると、小牛田で停車時間もあり、仙台~石越が、東京~仙台と、所要時間であまり変わらないという現実。今や東京から仙台などあっという間だが、石越となると、東京からかなり遠いのだ。この鉄道は、その石越で乗り換えてそこからまた奥地へ入る私鉄なのだ。そうかといって沿線はそこまで過疎化が進んでいるわけではなく、ササニシキの産地で水田が多いものの、人家もそれなりにある。終点近くで山が迫り、勾配がちょっと急になるものの、際立った秘境があるわけでもない。要するに地味な私鉄と沿線なのである。 栗駒駅は、この線屈指の主要駅で、駅員もいる。立派で大きな駅舎があり、多くの乗降客で賑わった時代もあったのだろう。駅待合室で使われているベンチが、実に凄い時代物。廃線の後、アンティーク屋に高値で売れるのでは、なんて失敬なことも考えてしまった。駅前広場も立派で、バスやタクシーが出ており、一応の商店街もある。 けれどもやはり、かなり乗客は少ない。これが民間企業の経営とあれば、存続は無理だろう。地方では、鉄道の利用者は、一昔前に比べて着実に減っている。残念だが、仕方ない。 駅からすぐの「みちのく風土館」で「くりでんの歴史展」をやっていた(2005年10月31日まで・火曜定休)。鉄道誘致・建設の時代から現代までの歴史が、数々の遺品とともにわかり、興味深かったが、見学者も殆どなく、ここでもまた寂寥感を抱いてしまった。
by railwaytrip
| 2005-06-27 14:40
| 東北地方
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