カテゴリ:ポルトガル( 1 )

Régua ~ Vila Real

 ポルトガル第二の都市、そしてポルトワインのふるさと、さらに国名の由来にもなっている、ポルト。鉄道は海岸線沿いに幹線が走っている他、内陸にドウロ川を遡り Pocinho まで行く線もある。この線は1988年までは、さらに先へ続いており、国境を越えてスペインに通じていたそうだが、利用者減で廃止されたらしく、今は盲腸ローカル線になっている。ローカル線にしては距離が長く、ゆったり流れるドウロ川に沿って延々と走る車窓は魅力的だ。

 そのほぼ中ほどに Régua という街がある。その Régua から Vila Real まで支線が出ている。それに乗って Vila Real を往復してみた。Régua はこの線沿線の、そしてドウロ川沿岸で最大の町。本線列車も最低3分は停車するし、ここから先は本数が半減するという所だ。そこから出ている支線は、小さなレールバスが1輛で一日5往復しており、お客も少なく、存続が心配なローカル線である。但し終点の Vila Real はそんなローカル線の終着とは思えぬ大きな街なのだそうで、ポルトとの行き来もそれなりにあるようだ。但し交通の主役は車とバスらしい。ポルトと Vila Real の間には、立派な幹線道路が通じている。


e0028292_83871.jpge0028292_832134.jpg


 この線は本線とは線路幅の違う、ナローゲージなのである。Régua を出るとしばらくは本線と同じ線路を走る。この区間は4線軌条になっている。つまり、幅の広い本線の2本のレールの内側に、幅の狭い支線の2本のレールが敷かれている。本線の Pocinho 方面と同じ線路をしはらく走り、長い鉄橋を渡る。渡り終えた所で左へ分岐する。


e0028292_835219.jpge0028292_84696.jpg


 分岐を終えた所に Corgo という駅がある。この駅は本線の列車から良く見える。線路幅の違う分岐点にあり、複雑なポイントがあり、それを管理するためであろうか、ここには駅員がいる。本線の列車がこの駅の脇を通る時も、駅員が列車を見送っているから、駅員といっても信号所係員なのだろう。周囲は人家も少なく、乗降客は少ない。ここは Régua の町のはずれ、といった程度の距離で、Régua の駅から歩いても距離的には知れていると思ったのだが、道路がなさそうだ。渡ってきた鉄橋はかなり長く、深い谷を形成しており、その鉄橋以外に目に入る範囲で道路の橋はない。この駅の周囲に住んでいる人が Régua の町へ行く時は、かなり大迂回をして車で行くか、このローカル列車に乗るか、さもなければ鉄橋を歩いて渡るか。その鉄橋は保線用の歩道はあるが、日本なら絶対に一般人の歩行は許されないだろう。こういった事は国によって基準が違うので、ここがどうなのかはわからない。この駅の脇には廃車となった古い気動車がボロボロになって3輛ほど並んでいる。

 さて、1輛の小さなレールバスは、Corgo を出ると細い線路を右へ左へとカーヴを繰り返しながら上って行く。直線は殆どない。谷は非常に深く、線路が敷かれているのはその崖の中腹よりちょっと上だろうか。車窓は概ね、左が谷、右が山となっている。Vila Real へ向かう時の席は左側がお勧めだ。勾配もカーヴもかなりきつく、険しい谷に沿って行く。次の Tanha は通過。リクエスト・ストップの駅で、乗降客が無ければ通過するシステムだ。実際、利用者の少なそうな閑散とした所にあった。その後も数キロごとに駅があり、乗降客が一人か二人。駅周辺は小さな村になっており、人家がいくつか固まっている。大きな道路はなく、メインの道路は川の対岸を走っている。そこと結ぶ橋も見当たらない。このあたりの家も流石の現代では車を持っているところが多いだろうが、車があっても行き来が大変そうだ。圧巻は Carrazedo 駅とその先で、この駅の左側、山の中腹の高い所を線路が通っている。そこまで、ぐるりと大カーヴを描いて上って行く。駅を出てから、再び左の車窓に駅を見下ろすまで3分ほどかかる。その後、もう一つ、リクエスト・ストップの小駅を通過し、Régua から50分余りで終着の Vila Real に着いた。


e0028292_844341.jpge0028292_851415.jpg


 Vila Real は今は無人化されており、待合室も閉鎖されている。10人ほどの乗客は待合室の脇の細い通路から駅前へ出て、迎えの車で、あるいは徒歩で、散ってしまった。しかしこの駅舎の立派さはどうであろう。駅前広場も広く、この山峡の町にとって、かつては重要な交通機関であったことが偲ばれる。駅のそばには小型の蒸気機関車が保存されていた(写真左下)。当然その昔は蒸気機関車だったのであろう。この深い谷に沿ってカーヴの続く線を走っていた頃を見てみたかったと思う。


e0028292_8202377.jpge0028292_8222383.jpg


 駅から歩いて5分ほどで深い峡谷にかかる橋を渡ると対岸が町の中心である(右上の写真はその橋からの眺め)。かなり大きな町で、これだけの町なら鉄道需要も十分ありそうだが、今やこのナローゲージのローカル鉄道は風前の灯火に見える。町には相当数の車が行き交っていて、鉄道とは別ルートで各方面へ良い道が通じているのであろう。

 折り返しの列車もやはり乗客は10人ぐらいで、行きとほぼ同じであった。やはりリクエスト・ストップの2つの小駅は乗降客がなく通過したが、それ以外は各駅とも1人か2人の乗降客があった。
[PR]
by railwaytrip | 2006-01-28 15:10 | ポルトガル