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鹿児島本線・香椎駅

 博多駅で夕方、次の予定まで2時間ほど時間が余った。ふと思い立って鹿児島本線で3つ目の香椎に行ってみることにした。切符を買う。運賃は220円。本数は多いので、問題ない。それが、3駅かと思ったら、千早という新しい駅がいつの間にかできていて、4駅目になっていた。

 香椎といえば、今でも思い出すのが、松本清張の「点と線」なのだ。駅からそう遠くない海岸で死体が発見され、聞き込みの刑事が駅前の果物屋で、列車で降りた客について尋ねる。細かいことは忘れてしまったが、博多から近いのに乗降客も少ない田舎駅である香椎という所の描写が、印象に残っている。勿論、戦後間もない頃と今とでは全く変わっていることも承知している。

 現代のJR九州香椎駅。橋上駅ではなく、改札は西側にしかない。ホームや跨線橋などに、昔の汽車駅時代の面影も部分的に残っているが、駅舎は立派な駅ビルで、自動改札もあり、東京の郊外駅と何ら変わらない。駅前広場はあまり広くない。


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 駅前の通りをまっすぐ西へ歩くと、ほどなく右手に果物屋があった(写真右上)。これはひょっとしてその当時からあった果物屋だろうか。ちょっと感動してさらに歩を進めると、間もなく西鉄宮地岳線の踏切がある(写真左下)。西鉄香椎駅は、小説の印象だとここが駅前だが、そうではなく、少しばかり北へ行った先にあるようであった。さらに商店の散在する通りを3分ほど歩くと、大きな交差点に出る。南北の道路は交通が激しい。渡って先へ行くと、雰囲気が変わった。恐らく昔はここがもう海岸への入口だったのではないか。小説の記憶でも、駅から海岸はそんなに遠くなかった筈だ。


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 細い住宅地をまた少し歩くと、川が合流する地点に出た。前方を高速道路がまたいでいる。その向こうは団地である。緑も多いが、これはやはり現代都市の光景で、死体の上がった寂しい漁村の情景は、全くない。何十年も経っているのだから当たり前ではあるが、この光景を確かめたことで、改めて「点と線」を再読してみたくなった。
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by railwaytrip | 2003-10-08 16:47 | 九州・沖縄地方