<   2006年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧

八高線・金子駅

 西武池袋線の所沢~飯能間は、1970年代以降、東京のベッドタウンとして急速に住宅地化したが、それ以前は武蔵野の面影を残す雑木林と茶畑の多い、農村地帯であった。狭山ヶ丘までが所沢市、武蔵藤沢から元加治までが概ね入間市、そしてその先が飯能市。飯能まで来ると、関東平野の端まで来たという感じになる。

 このあたりの西武沿線の住民でも、入間市内の駅を全部言えという問いに即座に正答できる人は少ないだろう。藤沢あたりはまだ所沢かな、とか、元加治は飯能市なのではあるまいか、と迷わない人でも、途中の稲荷山公園だけが実は狭山市であることを知る人は少ない。そして、それも知っているよと得意そうに言う人でも、忘れがちなのが、八高線の金子駅なのである。そう、ここが入間市だと聞くと、意外な感じを受ける人が多い。それどころか、入間市にそんな駅があることすら知らない、埼玉都民である入間市民も少なくないだろう。

 かくいう私も、実はその昔、この西武沿線に長く住みながら、そしてごくたまに八高線も利用する機会がありながら、金子には一度も行ったことがなかった。およそ用事があって出かけるような所ではなく、用がなければ行く必要はないのだが、しかし非電化の当時、西武池袋線沿線から最も近い、ローカル線の小駅の雰囲気を味わえる駅だったのである。わざわざ出かけるだけの価値もあったし、それほど近いのであるが、いつでも行けると思っているうちに、行かずに引っ越してしまったというのが現実である。

 そして時代は下って、ローカル線だった八高線も電化され、都内の主要線区と同じような通勤型電車が走るようになった。本数も増えたし、もはやかつてのローカル線の面影はないかもしれないと思いながら、東飯能から八王子行きの、4輛編成の電車に乗ってみた。

 単線だから、列車交換がある。相対ホームで跨線橋があるが、屋根無しの、歩道橋タイプである。そして、思ったより乗降客が多い。けれども嬉しいのは、昔ながらの木造駅舎が残っていることである。首都圏のJRだから、簡易スイカの機械はあるが、自動改札までは設置されていないのも嬉しい。この古風な木造駅舎に自動改札は、絶対に似合わない。


e0028292_5374269.jpge0028292_538325.jpg


 駅周辺は、駅前からすぐ住宅地で、新旧の住宅が混在している。駅前商店街といったものは一切なく、食堂も喫茶店もコンビニもない。少し行った所にスナックが1軒あった程度で、駅に近い所にあるのは、不動産屋、学習塾、写真屋であった。東飯能寄りに歩いていって踏切を渡った所には、スーパーなどお店が数軒あったが、商店街というほどのことではない。少し歩くと茶畑もあり、狭山茶処は今も健在なのが嬉しい。

 駅前からは、駿河台大学へのスクールバスが出ていた。こんな所にそんな大学があるのも知らなかったが、しばらく駅周辺を散歩して駅前に戻ってきた時、ちょうど大学からのバスが着くと、夕方ということもあり、かなりの学生が降りてきた。寄り道するような喫茶店一つない駅前だからか、全員がぞろぞろと改札口を入っていった。後で調べてみると、やはり割と近年になってこの近く(飯能市内)に開かれたキャンパスだそうだ。


e0028292_5382793.jpge0028292_5384036.jpg


 そういう都会風の若い学生の他、スーツ姿のビジネスマンもいて、ここ金子駅の夕方、電車を待つ人々は都会的である。駅もそれなりに綺麗になり、やってくる電車も最新型。古い木造駅舎だけが、ローカル線時代の八高線の面影を今にとどめているように思われた。
[PR]
by railwaytrip | 2006-07-03 15:00 | 関東地方