マンチェスターからバーミンガムへ、インターシティーで2時間弱の旅。イングランドを代表する工業都市・産業都市同士、列車本数も多く、鉄道が今も交通の主要な役割を果たしている区間であろう。風景はおおむね平凡で、イギリス屈指の退屈な区間であるが、鉄道発祥の国イギリスのビジネス特急は今いかに。
イギリスは普通に切符を買うと馬鹿みたいに高いので、インターネットで事前予約してある。窓口買いの片道だと22ポンドだが、私の切符は9.50ポンドと半額以下。その代わり指定された列車にしか乗れない。それが、Manchester Piccadilly 発11時24分の Virgin Train。新型車輛の4輛編成。私の座席は3輛目の進行左窓側。各座席の下にパソコン用コンセントも付いている。この列車を選んだのは、この前後では、これが一番安かったからだ。座席指定だが、殆ど意味ないぐらい空いている。外も天気は今いち、どんより曇っているが、イギリスの冬の典型的な天気で、雨が降っていないだけでも良しとせねば。 ![]() ![]() ![]() ![]() 外は農村で時々牛がいる。大体平地で時々ゆるやかな起伏がある。時々家が増えてきて、駅がある。イギリスの町はまだ結構鉄道に沿って開けたところも多いのか。工場もあり、大手スーパーのテスコが突然現れたりする。全くの田舎でもないのだ。分岐駅の Kidsgrove は、乗り換えもあるし、それなりの町のように見えたのだが、通過する。続いてその次の小駅、Longport を通過、ここは町は小さく、駅も大きくはないが、構内に引込み線があり貨車がかなり留置してあった。日本でいう昔の一般駅だろう。日本でも少し前まで当たり前だったああいう駅が、イギリスも減ってはいるんだろうが、まだ健在のようだ。 ![]() しばらく平凡な農村地帯を走ると、突然左手に大きな Wedgwood の工場が見え、その先ですぐWedgwood という小さな駅を通過した。そんな駅があるとは知らなかった。この駅を利用して通勤している工員もいるのだろうか。その先にはStone という分岐駅もあるが、ここは通過。雑然とした住宅地や工場の散在する場所だ。うすら寒い冬のイングランドの風景が展開する。駅を出るとまた農村となり、羊もいる。女の車掌が頻繁に検札に回っている。短距離利用者が多いからこの程度の混み具合でも結構忙しそうだ。車内で切符を買っている人もいるが、別にペナルティーフェアではないのだろうか。しかしこの列車、ちょっとスピードを出したと思うとすぐ遅くなり、結構時間がかかる。平均時速もそんなに速くなさそうで、逆に言えば工夫次第でまだまだスピードアップできそうな気がする。 ![]() そこからほどなくすると、次の停車駅、Stafford に着く。だいぶ降りる人がいる。殆どが短距離利用者で、この車輛でマンチェスターから乗り通している客は、私の他には老夫婦1組だけではないかと思う。ここも大きくて重厚な駅だ。しかしどこも似ているといえば似ている。停車時間も長いが、特に遅れているわけではなさそうだ。こんなにのろい特急ではいけない。やる気がないのか、それともJR西日本じゃないけど、民営化後の混乱の反省でゆとりダイヤにしたのか。と思っていると、向こうのホームに同じ方向から別の Virgin Train がやってきて通過した。あれに抜かれるための停車か?あちらは6輛で、やはり空いていた。もしかするとこの列車はのろいから、それで切符が安かったのかもしれない。だから一層短距離利用者が多いのかもしれぬ。それでもなかなか発車せず、続いて貨物にも抜かれた。これでは鈍行だ。10分以上停まってやっと発車。 Stafford を出てしばらく、やっと高速になった。隣に幹線道路が並行してくる。交通量が多い。イギリスも車社会だ。あいかわらず単調な農村で、さして素晴らしい景色でもない。時々家があったり工場があったりする。次の停車駅は Wolverhampton で、この駅名は列車の行き先としてロンドン・ユーストンでもおなじみだ。ユーストンからバーミンガム方面への列車の多くがここ行きなのである。バーミンガム郊外の街なのだろう。観光ガイドブックなどに絶対載っていない所だ。昔は鉄道の町だったに違いない。いや今も結構それなりかも。鉄道関係者が沢山住んでいそうだ。そう思っていると、工場や倉庫が目立って増えてきた。古いレンガ造りのもあるが、味気ないモダンなのも多い。ごみ捨て場もある。殺伐とした風景である。でも非常に味のある古い工場もあったりして、重厚な感じだ。取り壊し寸前の建物もある。実に重々しい。間もなく Wolverhampton というあたりまで来ると高層マンションは20階建てぐらいになる。しかし駅は意外とモダンで、重厚な駅ではない。古すぎて逆に新しくされてしまったのだろうか。これではますます降りたくなくなる。ここからバーミンガムはもう一息で、ここからは本数も増えるが、それでもこの列車に乗ってくる人がそれなりにいる。もう市内利用区間って感じだろう。停まった目の前に First class 専用待合室がある。ガラス張りなので外から中が丸見えなのだが、おじさんが一人だけ新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。ここも停車時間が長い。遅れているわけではなく、定刻運転だが、余裕がありすぎるようだ。 ![]() ※ 車内から窓ガラス越しに撮った写真が多く、反射等で鮮明でない点、ご了承下さい。窓が開かないのでどうしようもありません。
by railwaytrip
| 2006-02-07 11:24
| イギリス
|
カテゴリ
全体 北海道地方 東北地方 関東地方 中部地方 近畿地方 中国・四国地方 九州・沖縄地方 中華人民共和国 ドイツ フランス オランダ スイス オーストリア イタリア デンマーク スペイン ポルトガル イギリス スロヴァキア ポーランド スロヴェニア 最新の記事
リンク & 補足
汽車旅のしおり
旅行に便利な鉄道最新詳細情報。 鉄道のある風景weblog 情報量が凄いです。 ebitks-photo archives 写真がとても美しい。 このブログへのリンクは自由です。特にご連絡も必要ありません。 ![]() 人気blogランキングへ この「鉄道と駅の旅」ブログへの、関連内容のコメント・トラックバックは歓迎いたします。執筆者railwaytripは、必ずしもお返事いたしませんが、お気軽にどうぞ。 この「鉄道と駅の旅」ブログの各記事の日時は、執筆の日時ではなく、実際の訪問の日時です(現地時間)。 2010年後半から2012年前半までの長期にわたり、ほとんど更新ができず、コメントへの返信もできませんでした。お詫び申し上げます。 タグ
ローカル線(20)
気動車(19) ヨーロッパ(16) 無人駅(13) 駅(13) 大手私鉄(7) 特急(7) 中小私鉄(6) 近郊列車(6) 廃止予定(6) 普通電車(5) 客車列車(3) ループ線(3) モノレール(3) 長距離鈍行(3) 第三セクター(3) 新交通システム(2) 新幹線(2) 国際列車(2) スウィッチバック(2) 以前の記事
2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 11月 2010年 05月 2010年 02月 2009年 11月 2009年 04月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 09月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2006年 10月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 11月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2004年 08月 2003年 10月 2002年 11月 最新のトラックバック
検索
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||