元国鉄池北線。北海道で唯一、第三セクターで残ったふるさと銀河線だが、その後も沿線の過疎化が進み、ついに2006年4月、廃線となることが決まってしまった。
大誉地(およち)はそのふるさと銀河線全線140キロのうち、ほぼ半ば、足寄町内にある駅である。かつてはそれなりに大きな集落で、乗降客も多かった。今もある程度の住人はいるが、鉄道利用者としては微々たるもの。駅前集落もわびしさが漂っていた。 大誉地は昔からの味のある駅舎も残り、この線内の駅でも比較的話題になることが多い。現に私がここで列車を待っている間も、札幌ナンバーの車がやってきて、駅の写真を何枚も撮って去っていった。その昔はちゃんと駅員がいて、小荷物の扱いもあり、それなりの利用者がいた時代があったことは、当時からの駅舎が物語っている。そして冬は北海道でも特に寒いこの地域、吹雪の中を歩いて駅にたどりついた時、待合室にはストーヴの火が入っていた。そんな時代がそれなりに長く続いたが、やがて無人駅となり、それすら維持できない時代になってしまった。 今、あちこちの痛んだ古い駅舎を見ても、現代から取り残されたの感は否めないが、それにしても何という味のある駅だろうか。ホームの電燈一つからも、そこはかとない懐かしさが感じられてしまう。 駅周辺を歩いてみる。ここはまだゴーストタウンにはなっていない。ある程度、生活のにおいがする。十勝平野の北端、農業も盛んな地域だ。紅葉が綺麗な季節。秋の爽やかな風の中、しかしやはり何となく寂しさを感じてしまった。ほどなく厳しい冬がやってくるのだ。 少ない乗客を乗せて、単行の列車がやってきた。残念ながらこの大誉地での乗降客は私の他にいなかった。廃線まであと半年。 ※ これは2005年11月1日の訪問記録です。その後、ふるさと銀河線は、予定通り2006年4月20日をもって全線廃線となってしまいました。
by railwaytrip
| 2005-11-01 09:00
| 北海道地方
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