都会の中のローカル線として、近年知られつつある線区の一つが、通称汐見橋線。正式には南海高野線の一部区間なのだが、高野線の全ての列車が難波発着になって久しく、この区間は完全な枝線のようになっている。
私事に渡るが、私はその昔の1980年代の一時期、堺市内に住んでいたことがある。大阪市内からの帰宅ルートとしては、阪和線と南海高野線があり、場合により使い分けていた。高野線で帰る時は、当然、難波や新今宮からの乗車が多かったが、たまに気分を変えて、わざわざこの線を選んで乗っていたものだ。その当時の記憶でも、夕方ラッシュ時でさえ空いていたように思うが、詳しいことは覚えていない。 しかし最近は、ますます乗客減が進んで、殆ど取り残されたようになっていると聞き、久しぶりに乗ってみることにした。南海沿線に行った後、心斎橋に用事があったのだが、岸里玉出から汐見橋へ、そしてそこからは心斎橋まで歩いてしまった。 まず、今はこの区間は30分に1本という少なさなので、時刻表を調べずに岸里玉出で乗り換えようとしても、えらく待たされる恐れがある。幸いなことに、数分後には発車ということがわかる。写真左下は、南海本線のホームから見た2輌編成の汐見橋線である。 乗り換えてみると、案の定というか、ガラガラで、2輛の乗客は10人程度。発車してみればどうということなく、複線の普通の線路で、沿線も住宅が密集している。最初の駅、西天下茶屋で早くも数名が降りる。次の津守では、一人の初老のおじさんが乗ってきたが、その人はその次の木津川で降りてしまった。木津川(写真右上)は、この線でも最も利用者が少ない、都会の中のローカル駅としてマニアに知られつつあり、私も次は降りてみたいと思っている。しかしこの一駅乗車のおじさんは、どういう用事で利用しているのだろう。コンビニの袋を持っていたから、もしかすると電車に一駅乗って買い物に行ったのだろうか、つまりこの寂れた木津川駅周辺には日常の食糧を買うようなお店がないのだろうか・・・想像だけなので、わからないが。 そして、環状線の芦原橋に近い、芦原町に停まると、環状線をくぐり、次が終点の汐見橋である。終点で降りた乗客は6、7人であった。 この汐見橋駅は、この日の私にとっては、乗ってきた電車の終点だが、通称汐見橋線、正式には高野線の起点駅である。環状線内にある私鉄のターミナルとして、これほど寂れた駅は珍しいとされている。レトロな昭和30年代の地図が、わざとなのか、撤去するのが面倒だからなのか、駅構内に掲げられている。恐らく特に撤去せず放置しておいた結果、骨董品的価値が出てきて、ある時点でこのまま残そうということになったのであろう。 そんな面白い駅だが、駅舎の外観は格別の味があるわけではない。駅を出れば特徴も薄い大阪市内の場末の道路である。歩いてすぐ、地下鉄千日前線の桜川駅があるが、桜川と汐見橋を乗換駅としても、汐見橋線の途中駅に用事がある人しか利用しない現状ではあまり意味がないので、あえて乗換駅としていないようである。 乗り通しただけだが、面白かった。近いうちに途中駅にも下車してゆっくり沿線を探訪してみたいものだ。
by railwaytrip
| 2005-11-26 15:47
| 近畿地方
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