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Fabriano ~ Pergola

 イタリアの首都ローマから、細長い半島を横断して東海岸の町、Ancona(アンコナ)へと抜ける路線は、さほど栄えているように見えないが、幹線の一つである。その途中、Anconaまでの3分の2ぐらい行った所に、Fabriano(ファブリアーノ)という町がある。地味な町で、観光ガイドブックなどにも登場しない。降りてみると、駅前にはモダンなビルが目立ち、つまらなそうな特徴のない町かと思うが、ちょっと歩いてみると、やはり情緒たっぷりのイタリアらしい古い町並みが健在であった。とはいえ、こういう町は、イタリア全土、あらゆる所にあるのであろう。


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 私がここに降りたのは、ここから、一日3往復というローカル盲腸線が出ているからである。広いイタリアで、広いヨーロッパで、そういうローカル線は他にも沢山あるだろう。しかし、こういうローカル線には、なかなかタイミング良く乗れるものではない。たまたまスケジュールがうまく組めたので、昼さがりのFabrianoへとやってきた。乗るのは13時45分発のPergola(ペルゴラ)行きである。Pergolaまでは、途中3駅に停車し、32分かかる。Pergolaでは8分の停留で折り返し、Fabrianoに14時53分には戻ってこられる。できることなら、Pergolaに1時間か、せめて30分でも滞在して町を歩いてみたいが、こういう究極のローカル線では、それが難しいのは、日本と同様である。

 日本では、3往復レベルの盲腸ローカル線は殆ど消えてしまったが、あるとしても、1輛のワンマンカーであろう。しかしここは3輛編成と、思ったより長い。乗客はというと、学生が多いようである。学生の帰宅時間にはちょっと早い気がするが、とにかく意外に乗客が多い。一般客もある程度乗っている。僅か3往復の路線をよく使いこなすものだと思う。

 Pergolaの折り返し時間が8分しかないので、遅れては困るのだが、何とものんびりしたもので、何の理由もなさそうだが、5分ほど遅れて発車した。おばさんの車掌が回ってくるが、切符はチェックしない。列車は案外スピードを出し、町を抜けてぐんぐんと進む。山に分け入る、と言っても、そこまで険しい地形でもなく、若干の上り勾配という程度で、沿線はぱらぱらと牧草地あり、住宅ありで、別段特に寂しい所ではない。


Fabriano ~ Pergola_e0028292_95263.jpgFabriano ~ Pergola_e0028292_953898.jpg

 そんな所を15分走ると、山の上に城のようなものが見えてきて(写真左上)、Sassoferrato-Arceviaという駅に停まる。かつてはもっと乗客が多かったのであろう、駅舎は古いが、大きく立派な建物である。ここでかなりの客が降りる(写真右上)。20人余り降りたであろうか。私の乗っていた先頭車の前半分は、数名いた客が全てここで降りてしまった。


Fabriano ~ Pergola_e0028292_963613.jpgFabriano ~ Pergola_e0028292_964972.jpg

 ここを出ても、風景はさして変わらず、長閑な田舎を快走し、5分ほど走るとMonterosso Marcheという駅に停まる(写真右上)。ここも立派な駅舎があるが、2人ぐらいしか降りなかった。すぐ発車し、もう一つ、Pergolaの町の入口といった感じの寂しい所にあるBellisio Solfareにも停まる。ここは乗降なくすぐ発車。ここから4分で、終点のPergolaである。それなりに広い構内と堂々たる駅舎を持つ、あっけらからんとした終着駅だ。かなり快走してきたので、遅れを取り戻すべく頑張ったのかと思ったが、5分遅れのままであった。ということは、普段から結構なスピードで走っているのであろう。


Fabriano ~ Pergola_e0028292_972166.jpgFabriano ~ Pergola_e0028292_973544.jpg

 Pergolaは、かなりの下車客があった。私が乗っていたあたりには他に誰もいなかったが、後ろの車輛には学生がグループでずいぶん乗っていたらしい。迎えの車もいれば、駅前に停めてあった自転車やバイクで家路に着く学生もいる。そんな駅前風景をゆっくり観察したいが、折り返しの発車時間が迫っている。運転手と車掌は、駅舎に入って何かやっていて、そんなにすぐ発車しそうもないが、発車時間を過ぎているのに、いつまでも写真など撮っていては、置いていかれそうだ。しかし、彼らは実にのんびりしていて、結局7分遅れでの発車となった。折り返し列車の客は私一人だけである。殆ど回送同然なのであろう。


Fabriano ~ Pergola_e0028292_975245.jpgFabriano ~ Pergola_e0028292_98573.jpg

 発車すると、さきほどの車掌が回ってくるが、やはり切符もチェックしないし、行って戻るだけの変な東洋人にも至って無関心である。それでも駅で写真などを撮っていたので、どういう人間かはわかっているのだろう。日本ほどではないにしても、イタリアあたりでも、たまにはそういう鉄道好きの客もいるに違いない。

 折り返しは、小さい3つの駅は通過し、Sassoferrato-Arceviaだけ停車する。ここでおじさんが一人だけ乗ってきた。そして、Fabrianoでは、手前の信号で長く停車し、結局10分以上遅れての到着となった。そのため、6分の接続で乗り継ぐ予定のローマ行きは、定刻に出てしまっていて乗れなかった。
by railwaytrip | 2008-01-07 13:45 | イタリア


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